第1章 短編集
先生の"特別授業"は予定通り必要の部屋で行われた。
ここでの先生は、いつもとは考えられないほど厳しかった。けれど、これが本当の先生だと思うと嬉しかった。
「もっと攻めろって言っただろ。僕はさっきも言ったんだ、一回で聞けこのノロマ。」
容赦のない攻撃に防衛呪文で防ぐので精一杯だった。それどころか、時々攻撃が当たって怪我が絶えなかった。
「何故、実戦訓練なんですか?」
「無駄口は出来てから叩け・・・ステューピファイ。」
「プロテゴ!ぎゃあっ・・・いった・・・」
「油断してるからだ。・・・もういい、今日はここまでだ」
くるりと踵を返そうとした先生に、以前ある教科書で見た呪文を放った
「セクタムセンプラ!!!」
虚しくも無言呪文で止められた
「その呪文・・・初めて聞いた。なんだ、それは」
「以前、とある生徒の教科書に書いてありました。敵に使うと。」
「そうか・・・これを無言呪文で唱えられたらかなりのモノになる。僕は教えないが、興味があるならやってみたらどうだ。それと、今日は終わりだと言った後なのに後ろから呪文を放つとは・・・この怯者めが。」
「先生なら止められると思って。」
「・・・フン、流石スリザリンとでも言っておこう」
「・・・ありがとうございます」
「褒めてない」
スタスタと先生の後に続いて必要の部屋から出た。部屋から出るといつもの仮面を被った先生になる。その瞬間が、私に対する特別扱いを引き立たせる幸せな瞬間だ。
実戦訓練も様になってきた頃に、磔の呪文の訓練が始まった。
「さて・・・こんなに時間がかかるは思わなかったけど、今から磔の呪いの訓練に入る」
そう言って先生は、一匹の羽をもぎ取られたピクシー小妖精を取り出した。
「コイツに磔の呪いをかけろ、呪文は知ってるだろ」
「クルーシオ!!!」
ギィギィと甲高い声で苦しそうに悶えるピクシーを見て先生はニヤリと笑った
「もっと憎しみを込めてするんだ」
「はい!」
愉快そうに言う先生はとても綺麗だった