第6章 お出かけしましょう。
私達は、ひとつひとつ時間をかけて水族館の中を回った。
小さな水槽が並んだコーナーや、川辺の生き物などもあった。
深海のコーナーもあった。
カラ松さんにダイオウグソクムシを可愛いと言ったら信じられないような顔をされた。解せぬ。
「ここがこの水族館の目玉なんですって」
「でかいな」
「でかいですね」
目の前には数10メートルはある水槽。中には大きなサメやエイが泳いでいる。
「カラ松さん、記念として一緒に写真撮りましょう!」
「いいな!」
そういって、係の人にスマホを渡して写真を頼む。カラ松さんは上手く撮ってくれよ、と決め顔をしている。……係員さん笑いそう。
頑張って耐えた係員さんは口をぷるぷるさせながらスマホを返してくる。
「ふふっ、上手く撮れてますよ」
……決め顔という名の変顔が。
「そうか!」
凄く嬉しそうなカラ松さんにその顔で写真に写って欲しかった。そっとカメラを向けてみると、いつもの決め顔に戻ってしまった。残念。
「あっ、カラ松さんあの魚何ですかねー?」
「ふっ、それはだな……………わからん」
「もったいぶった挙句わからないんですか!?」
分からないなら分からないって言えよ。期待しちゃうでしょ。
大きな水槽を見終え、次へと歩く。
道は、トンネル上のガラスになっており、まるで水中を歩いているみたいだ。
「青色見てるとカラ松さん思い出します」
「そ、そうか!」
「あ、でも」
「なんだ?」
「カラ松さんは海の青より空の青、青空のほうが似合っていると思います」
雲一つない真っ青な空が1番カラ松さんには似合っている。まだ2回しかあってないのに、そんなことを何故か思ってしまった。
「褒めているのか?」
「褒めてますよ?」
「そうか!ありがとう!!」
何故かお礼を言われてしまった。何だか照れくさくなってくる。
「青空の似合う俺!何だかカッコよくないか!?」
「そうですね」
私達はお喋りしながらくすくすと笑いながらトンネルの中を歩いていった。