第7章 お泊まり?いえ介抱です。
タクシーから降りて、一松くんを引きずりながら家へと入れる。
流石に成人男性をもつのは無理だ重い。
どれくらい時間をかけたのだろうか、やっと部屋へと運べた頃には私の息があがっていた。
「い、一松くん。とりあえず、袖、離して」
「………やだ」
この酔っ払いめ。
一松くんはやだやだと言うかのように頭を肩にぐりぐりさせてくる。
「ほら、私ここにいるから。はなして?」
「……ほんとに?」
「うん。大丈夫だよ」
「……………………わかった」
お酒で顔を赤くしながら、一松くんはしぶしぶと手を離してくれた。
「一松くん、あっちにベッドあるからそこで寝よう」
「まだのむ」
「お酒ないから飲めないよ」
「おさけ……」
「ないよ」
正直可愛い。だけど、一松くんこのこと覚えていたら絶対恥ずかしくて死にかけると思う。
「ほら今日はもう寝よう」
「アンタも一緒にねる?」
「…………」
「ねないの?」
いや、流石にダメだよね。酔っ払いとはいえ、さっき知り合ったばっかの男だよ。
「……じゃあぼくもねない」
「隣に布団敷いてねるよ」
「やだ」
「じゃあ2枚布団敷いてねる?」
1枚は無理だ。
「……うん」
「布団敷くからそこに座っておいて」
「うん」
私は客用の敷き布団を押入れからだして、手早くひく。
「ほら、一松くん寝るよー」
「うーん」
一松くんをみると、こっくりこっくりと頭が揺れている。
しょうがないから手を引っ張って布団まで連れていく。
「おやすみ」
「…………おやすみ」
布団に入れるとすぐに寝息がきこえた。
……よし、お風呂にいこう。
酔っ払い一松くんに夢を見すぎているような気がする。