第5章 寄り道せずに帰りましょう。
赤パーカー野郎から走って逃げて、少し疲れてしまった。ちょうど公園があったから休むことした。
公園には、滑り台とブランコ、あとは小さな広場くらいしかない。
まだ平日の昼間だからなのにほとんど人がいない。ベンチすらなかったので、私はブランコに座ることにした。
ほんとあの赤パーカー何なの。公然わいせつで捕まえてやろうか。
きいきいとブランコの音をならしながら、小さくため息をついた。
「ドゥーーーーーン!!!!!!」
「!?」
突然、変な声をあげた何かが目の前を通り過ぎていった。
思わず通り過ぎたものを目で追う。
通り過ぎたものはくるりと一回転し、敬礼しながら止まった。
またさっきまで見ていた顔だ。黄色のユニフォームに黄色い野球帽をかぶっている。
ぽかんとした顔で、そちらを見ていると見ていることに気づいたのか目が合った。
「こんちはっー!!!」
「こ、こんにちは」
ニッコリ笑いながらこちらへと駆け寄ってきた。
「……んー」
「どうしたの?」
「君の名前なんていうの?」
私の顔を見てすごく悩んだような顔をする。またチビ太ってやつと間違えられてるのか。
「私は、春川雪実です」
「やっぱりチビ太じゃないや!!」
「へ!?」
「たはーっ、匂いが全然ちがーう」
「よく分かりましたね……?」
匂いでわかるもんなのかな……?これで六つ子は4人目か。みんな濃いね!!