第5章 寄り道せずに帰りましょう。
「名前なんていうんですか?」
「ぼく?!ぼく十四松だよ!!」
黄色のユニフォームは十四松さんというらしい。そろそろ覚えきれなくなってきた……。
「十四松さんは何しているの」
「ぼくはねー!野球!!!!野球してるよ!!!!」
「……1人で?」
「うん!!!!」
そう答えると、突然1人でボールを投げて自分で投げたボールを自分で打って自分でとりにいく十四松さん。
……え?すごくない!?なに?十四松さんって人間だよね!?
「雪実ちゃんも一緒にする!?」
「ちょ、ちょっと無理かもしれない」
体力的にしぬ。
「まじでー、へこみー…」
断ると十四松さんがしょんぼりするから少しだけ罪悪感を感じる。
でも無理なものは無理なんだ、ごめんね。
「ご、ごめんなさい。飴玉あげるからそれで許して?」
「やったー!ぼく飴玉好きだよ!」
苺みるくキャンディを数個、十四松さんにあげる。
十四松さんは一気に紙ごとぱくりと口の中にいれた。
「えっ!?紙は食べれませんよ!ぺっしてください!!」
「もう食べちゃった!」
「えぇー……」
んべっと口の中を見せる十四松さんの口には何も無かった。本当に食べたんだ……。
「あと少しあるんでそれもあげます。今度は紙ごと食べちゃダメですよ?」
「わかった!」
といい、十四松さんはあげた飴玉を紙ごと食べた。
「えぇー……」
「美味しかった!!!!」
「そ、そうですか……」
「じゃあねー!ありが特大サヨナラホームラン!!!!!!」
「ああ、はい」
なにかよく分からないことを叫びながら十四松さんはどっかへ行ってしまった。
……まるで嵐のようだった。なんか疲れたし。
「…………私も帰ろ」