第1章 惚れ薬
「ちょ、おい!ヨル!?どこ行くんだよ!」
「二人の居場所を知っているのかもしれませんね。」
「急いで追おう!」
__姉上の匂いは追えないけど、リムさんとオレオさんなら……
リムとオレオの微かな残り香を追い、どんどん先へ進んでいく。
しばらくすると、猫の話し声が聞こえてきた。
「リムさん!オレオさ……ん………。」
そこまで言って、ヨルは口を開けたまま固まってしまった。
後に続いてきたアヤカ達もヨルの視線の先を見ると、固まってしまった。
そこにいたのは、ホタルだった。
ホタルはじろりとアヤカ達の方を見た。
「……あぁ、皆さん来てしまいましたか……そこのクズのせいで……来るのにさぞかし苦労なさったでしょう……?」
「そんな事ねーよ。……って、ホタル、お前……二人に何してた……!?」
アヤカが怒りを含んだ目でホタルを睨む。
当然の事だろう。
ホタルの手には、鞭が握られている。
その傍らでは、リムとオレオが上半身を剥き出しに倒れている。
血まみれの傷だらけだ。
「うっわ〜……ヒドイね〜………。」
「何てことを………!」
マナとマコもホタルに怒りの目を向ける。
「……皆さん、何か……勘違いしていませんか……?」
ふふっ、とホタルが笑う。
絶世の美女、とも言えるだろう顔であるというのに、その笑みは邪悪そのものだ。