第1章 惚れ薬
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「ふあぁ……おはー。」
ドアを開け、アヤカはそう挨拶した。
「もうおそよーだよ〜。アヤカちゃん。」
呆れたようにマナが言い、
「いつもの事だけど、ホントねぼすけだよね。」
苦笑混じりにマコが言う。
時計の針がもう十時を過ぎた頃、アヤカが寝ぼけながら起きてきた。
すると、ホワーンと美味しそうな臭いが漂ってくる。
アヤカが鼻をひくひくさせると、アヤたち料理班が朝御飯を持ってきた。
アヤはアヤカの姿を見ると、「おはようございます。」と上品に挨拶した。
「朝食はいりますか?」
「絶対食う!!!」
朝食、という言葉にアヤカの目がシャキーンと覚める。
「……相変わらず、食いしん坊だね。」
「だね〜って、朝御飯無くなっちゃいそうだよ〜。」
「え゛!?あー!!オレオも食べてる!!早く食べよ!」
慌ててマコ達も席につく。
椅子に座って、さあ食べようとした時、ふと、マナが気付いた。
「あれ?ホタルとヨルは〜?」
マナの言葉に、他のメンバーも辺りを見回す。
「あら?居ませんね……呼んできましょうか?」
アヤが心配そうにそう言うと、アヤの心猫であるリムが手を上げた。
「アヤさん、僕が行きますよ。先に食べていてください。」
「そうですか?では、お願いします、リム。」
「はい!」
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リムがホタルとヨルの部屋につくと、昨日と同じ臭いが充満していて、廊下にまで及んでいる。
臭いに気圧されながらも、リムはドアをノックする。
「ホタルさん、ヨルくん、起きてますかー?」
何度か叩いていると、カチャッとドアが開いた。
出てきたのは、少し疲れ気味のヨルだ。
「あ、リムさん。すみません、遅くて……。」
申し訳なさそうに謝るヨルにリムは手を振る。
「いえ、大丈夫ですよ。それより……なんか疲れてませんか?」
「いやー……昨日はこの臭いのせいで眠れなくて……。」