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短編集〜猫達の茶番劇〜

第2章 過去話 アヤカ


自分を亡きものとしようと迫った奴等と同じ、銀色の毛並み。
こいつも、自分を殺しに来たのだろうか。
銀色の猫は、少女の射殺すような目に気付き、動きを止めた。
「どうかしたのですか?」
彼女はそう言って少女の方へ一歩、踏み出そうとした。
その時、少女はまさに猫の様に、四つの足で地面に降り立った。
背は逆立ち、目を怒らせて、今にも飛びかからんとしている。
シャーッ、と、威嚇の声を出す。
裂けたように広がる口の中は、血のように紅い。
尋常ではない少女の様子に、銀猫は思わず身構えた。
警戒する両者。
飛び出したのは、少女だった。
少女が銀猫の首に向かって牙をたてた。
しかし、その牙が銀猫の首に届く前に、少女は撥ね飛ばされた。
何が起こったのか理解出来ない少女。
腕を動かそうとするが、思うようにならない。少女の体は、銀猫が持つ鎖で縛られていた。
少女が尚も暴れると、銀猫は困ったような顔をした。
「暴れるのは止めて下さい。」
頼むような口調に、少女は動きを止めた。銀猫に害意は無いようである。試すように銀猫を見つつも、少女は完全に抵抗するのを止めた。
銀猫は息をつき、少女の体から鎖を取った。
そして、解放した少女に近寄ると、抱き締めた。

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