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短編集〜猫達の茶番劇〜

第1章 惚れ薬


ヨルが飛び出して、二人の代わりに打たれたのだ。
ヨルの頬から血が滲み出す。
ホタルの手が止まる。と、リムとオレオは糸が切れたように気を失い、前のめりに倒れこんだ。
皆が一斉に二人に駆け寄り、抱き起こす。
アオバとソラが二人を背にのせ、マコと先に家へ向かった。
それを見送ると、アヤカが物凄い形相でホタルを睨んだ。
「ホタル………てめぇっ……」
金色の目を光らせ、ホタルに食いかかろうとした。
「待って下さい!アヤカさん!」
そんなアヤカを、ヨルが止めた。
「………ヨル……。」
動きを止めるアヤカ。アヤカを止めながら、ヨルは苦しそうに続けた。
「皆さんも……言いたい事はたくさんあると思いますが……ここは一旦、僕達だけにしてもらえませんか?」
そう、ヨルは言った。
「………そうですね。二人のことも心配ですし。」
「ちゃんと帰っておいでよ〜。」
「………じゃあな。」
アヤカ達三人は帰っていった。
しかし、ナコとアイはホタルを睨みながら
「リムを痛めつけてくれたコト……後悔するが良いですの。」
「絶対許さないからぁ。」
「…………ふん。」
そう言い放つと、二人も帰り道を急ぐ。
ホタルはそんな二人に鼻で笑って返しただけだ。
一人取り残されたサクラは、心配そうな顔をしている。
「………あの………ホタルさん………。」
「…………さっさと行けばどうだ?目障りだ。」
「!………ご免なさい………それじゃあ。」


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