第9章 夏休み
「あー、楽しかったー!」
「…絶対明日筋肉痛」
「いや一松、お前全然動いてなかったよね?」
「わっほーーーい!!」
「十四まぁぁぁぁつ!テントを担ぎながら走るな十四まぁぁぁぁつ!!」
バーベキューからの帰り道。私たちは松野家に向かっていた。
「鈴、今日うちに泊まるんだよね?」
「うん!」
暴れ回る(?)ジュッシーたちを眺めながら、トッティと並んで歩く。
最初はバーベキューだけの予定だったんだけど、おそ松くんに「どうせ家帰っても1人なら泊まってけば?」という鶴の一声を頂きまして、今日はこのまま人生初のお泊まりなのです!おじさんとおばさんには許可をもらっているし、必要なものはバーベキュー前にあらかじめ松野家に置いてもらってあるから後は向かうだけ。
嬉しいなぁ。夏休みみたいな連休じゃないとなかなかこんなことできないから、ずっと楽しみにしてたんだよね。
「あ、そうだ。さっき撮った写真なんだけど、見る?」
「わぁ、見たい見たい!」
トッティがスマホを操作すると、画面いっぱいにみんなで撮った写真がずらりと表示された。そういえば写真係ってトッティだったっけ。
「トッティ、撮るの上手だよねー」
「そう?まぁ慣れてるからね。これとかいいアングルだと思わない?」
「ふふっ、ほんとだ!おそ松くんったら変な顔〜♪」
「でしょでしょ?」
「お〜い、お二人さん?ずいぶん楽しそうじゃ〜ありませんの〜」
「「わぁ!?」」
いつの間にか後ろに回っていたおそ松くんが、ガシッと私たちの肩を掴んできた。
「ちょっ、脅かさないでよおそ松兄さん!」
「やかましい。で、俺の変な顔ってどれ?」
私たちの間に無理やり割り込むようにして、彼がスマホの画面を凝視する。あわわ…っ
「…ふーん…へぇー…なーる…」
「お、おそ松兄さん?」
「トド松ぅ…後でお仕置きな☆」
「ひぇぇっ!」
お茶目にウインクするおそ松くん。それが逆に恐ろしいのですが…!