第9章 夏休み
カーくんとイッチーはちらっとお互いに目配せをし、深く頷き合う。
「カラ松兄さんとジュース買ってこいっておそ松兄さんに頼まれた」
「そうだ。俺は付き添いだ」
「いや、今なんか明らかに口裏合わせる合図送ってたよね?てかそれならついでに俺たちに頼めばよかったじゃん」
「あ、そうか…じゃあどうする?」
「買い物目的がNGとなると…トイレか?」
「それだ」
「嘘下手くそすぎだろ!!」
チョロりん、毎度毎度ツッコミ大変そうだなぁ…
ちょっとしたいさかいはあったものの、なんとかコンビニに着いた私たち。
「俺たちは外で待っている」と、カーくんとイッチーは入り口で待機中。え、ほんとに何しに来たんだろう…。
私は頭にはてなを浮かべながらも、アイス売り場を覗き込む。おおお、種類豊富!どれにしようかなー?
一方チョロりんは落ち着かない様子で、時折入り口を睨んでいる。
「チョロりん、選ばないの?」
「!あ、ああ、うん…俺はこれでいいや」
さっと彼が手に取ったのは、メロン味のアイスバー。
メロン…チョロりんがメロン…
「ふふっ」
「……え、別に笑うとこじゃないよね?」
「あ、ご、ごめん!可愛いなーと思って」
「なっ…!」
いけない、これ以上は寿命が縮んじゃうかも。チョロりん、からかわれるの嫌いっぽいもんね。
「メロン味おいしいよね!じゃあ私も同じのにしようかな」
「!?」
機嫌を損ねないよう、弁解の意味も込めて同じアイスバーを手に取る。
「?チョロりん?」
でもなぜか彼はアイスバーを思い切り握りしめて顔を真っ赤にし、口をぱくぱくさせている。と、溶けちゃわないかな…?
「えーと…とりあえずレジに持ってこうか?」
「えぇ!?あ、あー…そ、そうだね、うん…お、俺が買うよ」
一瞬声が裏返ったような…チョロりん、何か動揺してる?
カーくんたちといい、チョロりんといい、男の子って難しいなぁ。みんなおそ松くんみたいに単純明快だったらいいのに。
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