第9章 夏休み
「迷惑って思ってるわけじゃないんだ。ただその…おそ松兄さんに申し訳ないなって」
「そ、そんな!おそ松くん多分気にしないよ?私ね、チョロりんともっと仲良くなりたいの!」
「は…?」
彼が振り返り、きょとんとする。
あ!つ、つい勢いで…でもこの際、はっきり言ってしまおう!
「チョロりん!私のこと嫌い?」
「え!?あ、いや、嫌いってわけじゃ…」
「ならもっと話そうよ!みんなと同じくらい、チョロりんとも仲良くしたいの!」
「…!!」
カーッと上から下まで真っ赤に染まり、彼は持っていた調理器具を地面に落としてしまう。
彼の返事を待っていると、後ろから声をかけられた。
「あー、二人とも。空気読まずに出てきて申し訳ないんだけどさ?」
声の主…トッティが、愛想笑いを浮かべながら私たちの間に割って入る。
「十四松兄さんが間違ってアイス全部食べちゃって…あはは、どうしよっか?」
「「……え?」」
ちーん。
***
「…ていうかなんで俺たちが買いに行かなきゃならないのさ。役に立たないおそ松兄さんと犯人の十四松が行くべきだよね、これ?」
「あ、あはは…同意」
河原を離れ、コンビニまでの道を歩く私たち。代わりのアイスを買いに行くんだけど、本当になんで被害者の私たちが行かなきゃいけないんだろう。おそ松くんは笑って誤魔化すし、ジュッシーはあんな性格だからむやみに怒れないし…!
でもまぁ、チョロりんと仲良くなるチャンスだと思えば!せっかく二人きり…
「…それとさぁ。なんでついてくんの?カラ松兄さん、一松」
「へ!?」
ぐるんと首を動かすと、私とチョロりんから数歩離れた後方に、カーくんとイッチーの姿が!二人きりじゃなかったの?!
「む、バレてしまったか」
「僕たちのことは気にしなくていいよ」
「いや気になるわ!ストーカーかお前ら!」
チョロりんが二人に鋭いツッコミを浴びせる。うん、確かにストーカーだよね、これ?