第7章 傷
翌日。
「ぐぐ、ぐ…」
数学の授業で返された答案用紙を真正面から睨む。こ、このような点数…い、生き恥ではござらぬか…!
「ういー、数学終わったぁー。ほい鈴、それ見せな」
休憩時間に入ると、怜衣と遥香がニコニコしながらやってきた。あ、悪魔め…!
「わ、私の点数なんてどうでもいいでしょ!ぜっったいに見せないし教えないから!」
「あー、その反応。もしかして赤点だった?」
「!!」
「隙あり」
横から素早く用紙を奪われる。
「だめ!」
急いで取り返そうと手を伸ばすも、私より断然背の高い怜衣に届くはずもなく。
「29点…わお」
「おめでとう、鈴。また1つ黒歴史が増えたよ」
「嬉しくないっ!!」
もうやだ…高校では勉強ちゃんと頑張って、赤点だけは取らないって目標を立ててたのにぃ…
その後も2人の悪魔に散々からかわれて、まだ1限目だというのに、私のメンタルはズタボロになってしまった…。
数学なんて…数学なんて…!
…はぁ…私ってなんでこんなに頭悪いんだろう。自分で言うとさらに悲しいけど。
放課後になり、図書室に向かう。もちろん勉強…追試のためである。
家だとどうしてもいろんな誘惑があって集中できないからな…マンガとか音楽とか食べ物とか。
今日返されたテストは数学、英語、化学、そして現代文。苦手教科である数学と化学は、ものの見事に玉砕(=赤点)だった。つ、辛すぎる…。
部活に入ってなくてよかった…頭が悪い自覚はあるし、文武両道ができない自信もあったから帰宅部を貫いてきたけど、結果オーライかも…とほほ。