第7章 傷
時刻は午後7時半。
9時までには出ようということで、私たちは街中にあるカラオケ店にやってきていた。
友達とはたまに来るけど、男の子とカラオケなんて初めてですごく緊張してしまう。し、しかも、み、密室…!
ちらっと横目でおそ松くんを見る。平然とした面持ち。緊張で体がカチコチしてる私とは正反対だ。
「最初何歌うー?ってか鈴ってなんのジャンル好きなの?」
おそ松くんはウキウキしながらタッチパネルでいろいろ検索し始める。その仕草が少し幼く見えて、思わず可愛いなと思ってしまった。
「ジャンルかぁ。基本的には流行りのJ‐POPとか、たまにアニソンとかも歌うよ。おそ松くんは?」
「俺?なんでもいけるよー。洋楽以外。あ、なんなら演歌でも歌っちゃう?」
「演歌って…ふふ、でも聴いてみたいかも」
隣同士に座って、たまにふざけあったりして、笑い合って。
私…おそ松くんが傍にいてくれるだけで、こんなに幸せなんだな。