第7章 傷
「ん?ああ…」
もう別れなきゃ…そう思うのに、彼の手を離すことができない。
それどころか、より強く握りしめる。
わがままだな、私…
「……あの、さ」
「…?」
彼が、遠慮がちに話を切り出す。
「その…俺たち、まだ高1のガキだし…あんまり夜遅くまで外出歩いてんのは、よくないとは思うんだけど」
「…うん」
なんとなく、彼がこれから言わんとしていることが分かるような気がしたけれど、あえて静かに彼の言葉を待った。
「…もう少し、さ。一緒にいない?」
「!」
カァッと、頬に熱が集まる。きっと私はこの一瞬でりんごのように顔を真っ赤に火照らせていることだろう。
おそ松くんも、そっぽを向いているからか表情はよく見えないけど、耳が少し赤い。
断る理由なんて…なかった。
「うん…私もまだ、おそ松くんと一緒にいたい」
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