第7章 傷
「…ごめんね、おそ松くん。話したい気持ちは山々なんだけど、まだ自分の中で整理ができてないというか…もう少し、時間をもらってもいいかな?」
こう言うので、精一杯だった。
下手な嘘もつきたくない。かといって、本当のことも言えない。
もどかしいけど…おそ松くんを傷付けないようにするには、これしか…
「…ん、分かった。問い詰めるような真似して、悪かったな」
「…!」
さっきまでの真面目な表情はどこへやら、彼は私の大好きな人懐こい笑みを向けてくれる。
それは無理をしているようでも、冗談にも見えなかったけれど…やっぱり気を遣わせてしまったように思えて、私は小さく唇を噛んだ。
せめて早く、一松くんと話をしなくちゃ…私もおそ松くんも、一松くんだって、苦しいままなのは嫌なはずだもん…。
それからまた他愛ない日常話に戻ったおそ松くんに相づちを打ちながら、パフェを食べる。甘くておいしいはずのそれは、なぜか味がしないように感じられた。
***