第4章 募る想い
【鈴side】
入学式の翌日。
「にゃ〜…にひひ〜…」
「なんかここに猫がいるんだけど」
「あははー、完全に溶けちゃってるねぇー」
1年3組。真ん中の列の一番後ろの席で、私はしまりのない顔で意味不明な鳴き声(?)を発していた。
机の前にいる中学時代からの2人の友人は、呆れながら私を見下ろしている。
ああ…でもそんなの気にしない。気にならないよ〜…にひひ…
「ね、ずっとにやついてるよこの子、気持ち悪い。一体何があったのさ?」
「さぁー?あれじゃない、男とか?」
「!!」
いきなり図星をつかれて、私はハッと我に返る。それを見逃さなかった2人は、ニヤリと黒い笑みを浮かべ、すかさず私に詰め寄ってきた。
「へーぇー?彼氏できたんだぁ?あたしらを差し置いて、入学早々ちゃっかり男作ったんだぁ?いい度胸してんねぇ、鈴ー?」
「や、そ、その、顔怖いよ怜衣…」
「うちら親友だもん。…詳しい話、聞かせてくれるよね?鈴?」
「遥香まで!わ、分かったよ、分かったからっ!」
「「よし」」
うぅ、何その¨計画通り¨みたいな顔は!ガッツポーズをするんじゃない!
「ど、どこから話せばいいの?」
「全部」
「当たり前でしょー」
「えぇ…仕方ないなぁ」
先生が来るまであまり時間がないので、私はおそ松くんとの出会いから今に至るまでの経緯を簡単に話した。
そして、聞き終わった2人の第一声。
「「少女マンガかよ!!」」
「え、感想そこ!?」
元々ボーイッシュできつめの性格の怜衣はともかく、普段は穏和な遥香でさえ、舌打ちをしてかなりイラっときているご様子。な、なぜに。
怜衣は空いている前の席にどかっと腰を下ろし、私と視線を合わせる。め、目が怖い…!
「あのさぁ、鈴…こんなこと言いたかないけど、あんたは中学の頃からガードが甘すぎる!」
「…はぃ?」
「分かりやすく言うと、盾はあるんだけど機能してない。ってか盾が紙でできてる。おーけー?」
「もっと意味が分からないよ遥香…!」
頭にはてなしか浮かばない。私何か変なこと言ったかな?事実を述べただけなんだけど。…は!