第14章 優しさの罪
僕なんかのために。
「まぁでも安心しろよ、一松!今日のことは誰にも言うつもりねぇし、こいつらにもかたーく口止めしておくからさ!もしまた何かあるようだったら俺がどうにかするし。お前は自分のことだけ考えてろ、な?」
そんな優しさ…僕なんかにはもったいない…
必要ないのに…!
「…なん、だよ…それ」
「…一松?」
ふざけるな。
自分のことだけ考えてろ、だって?
ふざけるなよ。
そうした結果がこれだろうが…!
僕が身勝手で誰よりもクズだったからこうなった!
何もできずにただ兄弟に守られてばかりの僕なんて…
「…っ僕なんて…要らない、だろ…!」
「…お前…」
「要らない、要らない…っ」
どう生きればいいか、分からない。
大切な兄弟を傷付けて生きるボンクラなんか、生きる価値はない。
気を遣わせて守られるだけの弱い僕なんか、死んだほうがいいに決まってる。
要らない…僕は要らない子。
涙が溢れて止まらない。兄さんたちをバカにした奴らは全員クズだ。
けど、
バカにされるような原因を作った僕が一番クズで、一番要らない存在なんだ…。
「……一松。んな寂しいこと言うなよー」
俯いて泣きじゃくる僕の頭に、兄さんのあたたかな手が乗せられた。
「お前はマジ昔から泣き虫だよなぁ。お兄ちゃんの前でさ、自分のこと要らないとか言わないでくれよ。俺も泣きたくなっちゃうよ〜」
たまにふざけてやるような乱暴な手付きではなく、あやすような優しい手付きで頭を撫でられる。
「お前はなーんも気にしなくていいんだって。兄弟なんだしさ、助けるのは当然だろ?…それに、
周りがなんと言おうが、お前がどんなに変わろうが、一松は一松。バカだった頃のお前も、真面目なお前も、両方一松だ。これってそんなにおかしなことか?」
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