第14章 優しさの罪
…うたた寝をしていた。目が覚めると、部屋におそ松兄さんはいなかった。
時計を見ると、もうすぐ19時。夏で日が長いといっても、さすがに太陽は沈みかけている。
「…あれ…」
いくらクーラーのない部屋で寝ていたとはいえ、酷い汗だ。着ていたTシャツがしっとりと濡れている。
それだけならまだいい。でも…
この胸騒ぎは、なんだ…?
「…一松?お前だけか?」
「カラ松兄さん…」
不思議そうな顔をしたカラ松兄さんが、僕を見て首を捻る。
「おそ松兄さんは?」
「え…知らない。僕寝てたから」
「困ったな…まだ帰っていないのか。もうすぐ夕飯だぞ」
「おそ松兄さん、一旦帰ってきたよ」
「そうなのか?じゃあまた出掛けたんだな。…それにしても遅すぎる」
…胸騒ぎが大きくなる。
僕が探しに行かなければ…ならない気がした。
「…カラ松兄さん。僕が探してくるよ」
「!なら俺も行こう」
「僕1人で大丈夫だから。なるべく早く見つけて帰るって、みんなに伝えておいて」
「…一松…」
胸騒ぎがする。僕が行かなければ。
僕が…
止めなければ。
***