第14章 優しさの罪
…違和感を感じ始めたのは、中学2年に上がったばかりの春。
その頃には、僕もテストで高得点を余裕で取れるくらいには成長していた。
しかし、他の5人は小学生の頃とほとんど変わらない。徐々に性格にも個性が出始めていたけれどそれだけ。見た目なんか誰も区別がつかなかった。
そんな中、1人だけ出てきた優秀な生徒。
普通に考えたら、それは個人のステータスに過ぎない。アイデンティティであり、何も悪いことではないんだ。
けど、僕らは¨普通¨じゃなかった。それを思い知らされる、小さな事件が起こる。
***
その日はたまたまみんな部活で遅く、早めに終わった僕は1人で家に帰ることになった。
玄関に着き、ロッカーを開けると、中から一枚のメモが落ちる。
「……ん?なんだこれ」
拾い上げて中を開くと、そこには乱雑な文字でこう記されていた。
『体育館裏に来い』
なんて古典的ないじめの常套句。とにかく呆れたのを覚えてる。
当時、僕ら6つ子は学校ではけっこうな悪さを繰り返していた。悪さといっても特定の誰かをいじめたりだとか、そういう悪質なことはやってなかったけれど。
先生には悪ガキとして目をつけられていたし、一部のクラスの連中にも目の敵にされていることは知っていた。
だから犯人は大体分かる。今回はたまたま僕が狙われただけ。
(1人なら敵うとでも思ってるのかな…)
喧嘩慣れはしていたために、1人でも3、4人くらいなら相手はできる。
そんな自信があったせいで、僕は迷いなく体育館裏に足を運んだんだ。
無視するよりは潰しておいた方がいいか、なんて安易に考えながら。