第13章 本音
っまた…そんな顔をする。
俺は毎度、彼女を困らせたり悲しませたりしてばかりだ。
こんなゴミに人から好かれる価値なんてない。口を開けば相手を傷付け、大人しくしていれば気味悪がられる。
彼女に出会って少しは前向きになれたと思った。でもそれは錯覚で、むしろ俺はよりどうしようもないクズになっていたんだ。
そんなクズに、こいつは…いつの間にか惚れていたっていうのか?
…だめだ。俺は好かれていい存在じゃない。
「っ…もういい…僕は帰る」
「え…!」
「僕はあんたとこんなふざけた話をしに来たわけじゃないんだよ。…じゃあ」
立ち上がろうとしたその時、彼女が俺の腕を掴んだ。
「ま、待って!」
けれど所詮か弱い女の力。俺はいとも簡単に振りほどくと、足早にその場を去ろうとする。
しかし、そんな俺の態度に、
彼女がキレた。
「…〜っこの…!
逃げないでよ!イッチーのバカ!!」
「!?」
今までにないほどの大声が、辺りに響き渡る。その怒号は、俺の足を止めるのに十分だった。
「…な…っ」
振り向くと、ベンチから立ち上がった彼女は瞳に涙をいっぱい溜めて、俺を親の仇でも見るような目で睨んでいた。
「いっつもそう!イッチーは何も話してくれない!都合が悪くなったらすぐ逃げる!私がどれだけ勇気を振り絞ってあなたに近付いても、うまくかわして距離を取って!そんなだから私、私…っ」
次第に嗚咽が混じり、声が小さくなっていく。とうとう彼女はその場に崩れ落ちた。
「おそ松くんにも…っ…何も話せなくて…胸が、苦しくて…っ」
ズキ…
「イッチーを…好きになっちゃった私、が…悪いの、に…っ人のこと言えないのに…っ」
ズキ…ズキ…
「…こんなにも、心が弱い私が…大嫌い…前に進めなくて、もどかしくて…もう、辛いの…っ!」
「…っ!」