第13章 本音
諦めかけたその時、メッセージの受信音が鳴った。
『ごめん。協力はできない』
「あ…」
それは紛れもなく、拒絶の言葉だった。
返事が来たことに一瞬期待を寄せてしまった自分が恥ずかしい。…こうなるのが当たり前だというのに。
きっとカーくんから見て、イッチーはまだ不安定な状態なのかもしれない。会うのは時期尚早…ということなのだろうか。
ピロリン
「あれ…続き…?」
『…と、少し前までの俺ならそう言っていた。君は一松と会って話をして、和解したいんだろう?そもそも、本人と話をするべきだと勧めたのは俺だ。ならここで君を拒絶することは矛盾している』
…それは、つまり…
『だから協力しよう。ただし、うまくいくかどうかは分からない。それでもよければ、だが』
「!」
カーくんが、私に協力してくれる。
申し訳なさも確かにあるけど…今を逃すと、それこそ次のチャンスはないかもしれない。
だったら私は、前に進むだけ。もう彼とすれ違い続けるのは嫌だ…!
『大丈夫です!お願いします…!』
『分かった。外に連れ出せばいいのか?』
『うん!』
『一松は警戒心が強いから、いくら俺でも怪しまれずに連れ出すのは容易ではないかもしれない。努力はするが、失敗もありえる。とりあえずあいつを外に出すことができたら連絡するから、その後に向かってもらえるか?君が先にいるよりはいいと思う』
『うん、分かった。ありがとう、カーくん!』
これで、イッチーに会えるかもしれない。
結局カーくんまで巻き込んでしまった。もし失敗したら、カーくんはイッチーの信頼を失ってしまうかもしれないのに…
…ううん、失敗するかも、なんて考えちゃだめ。頼んだ私に責任があるんだ。私がすべきことは後悔じゃなくて、成功するって信じること。成功した先を見据えることだ。
スマホをぎゅっと握り締めて、私は祈るように瞳を閉じた。
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