第13章 本音
【鈴side】
イッチーに会ってみよう、と意気込んではみたものの…
一体どうすれば彼に会えるんだろう?
連絡先は知ってるけど、イッチーが私の誘いに応じるわけないし、
かといって家に突撃しても他のみんなもいるし…特におそ松くんにだけは会わないように気を付けなきゃならない。
だから、学校のある平日は何もできなかった。チャンスは今日…日曜日のみ。
といっても、具体的な案は未だに決まっていない。朝起きてからずっと自分の部屋で頭を悩ませている状況…
せめて協力者がいてくれれば…
あ。そういえば私、この前カーくんにだけは事情を説明したよね。
カーくんは誰にも言わないって約束してくれたし、そういう意味では頼っても大丈夫…かな?
本当は私が解決すべき問題だし、迷惑かもしれないけど…これしか思い付かない。
私はカーくんにメッセージを送るため、スマホを取り出す。
周りに誰もいないといいけど…とりあえずいきなり本題は避けて、今自由に行動できるかどうか聞いてみよう。
『カーくん。今何してる?』
送信すると、間もなく返事が来た。
『家で宿題をしていた。どうした?俺に何か用事か?』
『うん。ねぇ、他に誰かいる?』
『全員いるぞ』
ぜ、全員!?…あ、いや、そうだよね、日曜日だもん…そんなに都合よく出掛けてくれてはいないか…
カーくんも宿題中らしいし、やっぱり家に行くのはやめておこう。何か他の手…うまくイッチーだけを外に呼び出してもらうとか?
『カーくんの側に誰かいる?』
『いや、俺1人だ。他のみんなは居間にいる』
よかった、今のうちに本題に入ろう。
『イッチーに会いたいの。…協力してくれないかな?』
震える手で送信ボタンを押す。
カーくんの反応が怖い。
事情を知っているとはいえ、彼は私だけの味方じゃないんだ。おそ松くんも、イッチーも、みんなを大切に思ってる。
だから断られたらそれまで。元々私が撒いた種なんだから、私がどうにか自力で解決するしかない。
…メッセージを送ってから数分が経った。返事はまだこない。
迷ってるのかな…それとも拒否?
私、呆れられちゃったのかも…。