第13章 本音
さて、休んだはいいけどどうしよう。
ソファーに座ってお茶を啜る。薬のおかげで頭痛はだいぶ治ってきたけど、さすがに外出するわけにもいかないし…
おそ松くんとイッチーのこと、この機会に自分の中でしっかり整理したほうがいいかもしれない。
今朝の夢は忘れてしまおう。きっと精神が疲れてるんだ。1日立てば回復するはず。
…そう、あんなのはただの悪い夢。気にしちゃだめだ。
ピロリン
「ん?」
音が鳴ったためスマホを手に取ると、おそ松くんからメッセージが届いていた。
『鈴が風邪とか珍しいなー。大丈夫?なんなら俺、学校帰りに家寄ろうか?』
…胸がきゅっと締め付けられる。
その短いメッセージの中には、彼の優しさが込められていて。
ちゃんとドキドキしてる…嬉しい。この気持ちが偽物なわけない。
会いたいな…でも仮病だってバレちゃうよね。ここは断るとして、せめて後で電話しようかな。
ピンポーン「ひゃ?!」
突然、玄関のチャイムが鳴り響く。め、珍しい、誰だろう?
「は、はーい、どちら様ですかー?」
「宅配便でーす」
宅配便?何も頼んでないけど、もしかしてお父さんとお母さんから?
「今開けますね。よいしょっと」
鍵を開けてドアを開く…が、そこにいたのは配達員ではなく…
「よっ!騙された?」
「お、おそ松くんっ!?」
制服姿の彼が、愉快そうに笑っていた。
「お邪魔しまーす、っと」
呆然と立ち尽くす私の横を素通りし、彼はさっさと靴を脱いで家の中に入っていってしまう。
…ハッ!
「ちょ、待っておそ松くん!いろいろツッコミさせて?!」
「うん?ああ、学校はサボったから大丈夫」
「それ全然大丈夫じゃないよ?!」
「いーじゃん、鈴だって人のこと言えないだろー?すっげー元気そうだしな?」
Σ「!!?」
し、しまった!私ったらついいつも通りのテンションで…!!
「や、ち、違うの、これは…っ」
「あー、いーのいーの、別に怒ってないし。俺なんかガキん頃からしょっちゅう仮病使ってたよ?お、リビング久々〜」
静止の声も虚しく、彼はあっさりとリビングに入っていってしまった。ど、どういうことなの…