第13章 本音
ガバッ!
「違う!私は本当におそ松くんのことが…!!」
……あ、れ…?
ベッド…?なんで私、ベッドの上にいるの?
それに、ここは…私の、部屋…
「……夢……?」
痛む頭を抑えながら、ゆっくりとベッドから下りる。
朝6時。まだ起きるには早い時間だけれど、完全に目が覚めてしまっていた。
…少しクラクラする。それもそうだ、あんな夢を見た後に平然といられるはずがない。
現実じゃなかっただけよかったとはいえ…思い返すのが辛かった。
…昨日、カーくんとあんな話をしたからかな。
夢は人の感情や強い思いを如実に表すという。だからこそ、おそ松くんが出てきたのは必然だったのかもしれない。
全部は覚えていないけど、私にとっては怖い夢だった。おそ松くんはあんな人じゃないのに、どうして…
特に、最後の台詞。
『¨恋に落ちた¨って錯覚だっただけなんじゃねぇの?
』
「…っ…!」
そんなわけない。錯覚だなんて。
私は確かにあの時、彼に恋をした。
過程なんてほとんどない、一目惚れにも似た感覚だった。でも、それだって1つの恋の形ではないの?
おそ松くんの傍にいるだけで幸せだと感じるのは、好きだからじゃないの?
それとも…その¨好き¨という想いすら、偽物だというの?
もう…分からないよ…
「学校…どうしようかな…」
まだ頭が痛い。洗面所で鏡を見ると、夢のせいでよく眠れていなかったのか、目の下にクマができていた。我ながら酷い顔…
クマはどうとでも誤魔化せるし、薬を飲めば痛みも和らぐと思うけど…とても登校する気分にはなれない。
…今日だけ休もう。どうにか元気を取り戻さなきゃ。
あ…ということは、学校だけじゃなくておそ松くんにも連絡しないといけない。いつも迎えに来てもらってるから…
風邪ひいたって嘘をつくことにしよう。できるだけ怪しまれないようにしないと。
…はぁ。本当に私って…最低だな…