第13章 本音
「ご、ごめんね。お弁当なら、また作ってくるから…」
「ああ、いいよそんなの」
「え?でも怒ってるんじゃ…っ!?」
彼の顔が急に近付いたかと思うと、強引に唇を奪われる。
「んん…っ!」
…どうして?こんなの、おそ松くんがするようなことじゃない。
一見ふざけているようだけど、彼はいつだって私を優しく扱ってくれた。
それが、こんな…
「ぷは…っけほっ、こほっ」
息ができないくらい長いキスを終え、ようやく唇が離れる。
「ごめんなー鈴。苦しかった?」
「…おそ松、くん…」
「じゃ、次」
「えっ…や、やめて!」
制服に手を伸ばして脱がそうとする彼に驚き、全力で彼の胸板を押して抵抗する。
やだ…おかしい…こんなのおかしいよ…!
「嫌なの?俺、お前の彼氏なのに?」
口調はいつもの彼なのに、表情が見えないせいで恐怖しか感じない。
「おそ松くんは無理やりこんなことする人じゃないでしょ?!お願いだからやめて…っ」
渾身の力で、彼を突き飛ばす。びくともしないと思っていたのに、彼はあっさり私の上からどいてくれた。
「…あ…ご、ごめんなさ
「鈴はさ。俺のこと、好き?」
「…え?」
辺りが急に暗くなる。ついさっきまで屋上だったはずなのに、真っ暗闇の空間で、私とおそ松くんは佇んでいた。
「…好き、だよ。大好き。なんでそんなこと聞くの?」
「でも今嫌がっただろ?」
「あ、あれは無理やりだったから…」
「ドキドキした?」
「っし、したよ…」
「本当に?」
「おそ松く
「なぁ鈴。お前、俺のどこに惚れたの?」
「!」
「入学式の日に偶然出会って、お互いに恋に落ちた。これっていわゆる運命かな?って思ってたんだけど」
…頭の奥で、ガンガンと激痛が走る。これ以上は聞いていたくなくて、耳を塞いだ。
「ああ、んなことしても無駄だよ?だって俺、鈴の心に直接語りかけてるから」
「!」
なに、これ…声が響いてくる…?
聞きたくないのに…!
「で、続き。……あれさ、ただのその場の勢いで…本当は運命でもなんでもない、
¨恋に落ちた¨って錯覚だっただけなんじゃねぇの?」
***