第3章 告白
そして、なんとかギリギリ高校に到着。
「おー、やっと着いたな」
「は、はい…やっと…」
校門のすぐ手前までやってきて、私はほっと息をつく。さすがに生徒の姿はほとんど見当たらない。でも遅刻は免れた…よかった…!
私は改めて彼に向き直り、深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございました!このご恩は忘れません!」
「あはは、いいっていいって。じゃ、俺こっちだから。お互い高校生活、頑張ろうな!」
「はい!…って、え?」
彼が道を逆戻りし始めたので、私は慌てて彼に駆け寄る。
「あ、あの!」
「ん?」
「高校、同じ方向じゃ…」
すると彼はにへらと笑って、頭をポリポリと掻いた。
「あー…間違えちゃったんだよ。途中までこっちだと思ってたんだけど、やっぱ違うっぽい。まぁ君は気にしなくていーから、早く学校入りな?遅れるよ」
「!」
この人…嘘ついてる気がする。
もしかして、全然違う方向なのに、私を送るためにここまで来てくれたの?自分が遅刻するかもしれないのに、私を優先して…!
「そ、そんな、どうしてそこまで…入学式なのは、あなただって同じなのに…っ」
ここで彼を責めるのはお門違い。そんなことは分かってる。
でも、この気持ちのやり場がなくて、やるせない思いが胸の奥から込み上げてきて止まらない。
…ふいに、頭に彼の手が乗せられた。
「だから、俺のことなんか気にすんなって」
「でもっ」
涙目で彼を見上げる。けれど彼は私の頭を優しく撫でながら、ニコッと微笑んだ。
「女の子が困ってたら助けるのは当然だろー?…君があれ以上濡れなくてよかったよ」
「…!」
…トクン、と胸が高鳴る。
鼓動は次第に速くなっていき、私の頬は徐々に熱を持ち始めた。
……ああ、落ちてしまった。完全に。
「んじゃ、今度こそ俺はこれで…」