第11章 軋み始める関係
【おそ松side】
鈴、おっせーなぁ。生徒は下校し始めてるし、連絡ないから一緒に帰れるんだろうけど、さっき送ったメッセージの返信来ないのはちと心配。
カラ松たちもさっさと帰っちまったし、もう部外者は入れない時間だし、どうしたもんか。
あ、そうだ。一松に聞いてみよう。
スマホを取り出してメッセージを打ち込み送信する。間もなくして、一松からの返事が来た。
『僕もう家に帰ったから知らない』
…え、えぇぇ!?いつの間に?!
俺1時間以上前から校門で待ってんだけど?終わってすぐここ来たのに、あいつ帰んのはや!
マジか〜どうしよ。まぁ待つけどさ。立ってんのだるくなってきたし、後もう1時間だけにすっか。
「あ!彼氏さん発見〜!」
「へ?」
スマホでアプリを起動しようとしたその時、校門から出てきた女子生徒が俺を指差して叫んだ。
ん?この子どっかで…あ〜、もしかして鈴の友達の?さっきカフェで見た。
「何、俺になんか用?」
「鈴を待ってるんですよね?あの子、今ちょっと参っちゃってて…よかったら、教室まで迎えに行ってやってくれませんか?」
「え?」
あまりに突然すぎる提案に、俺は思わず首を傾げる。参っちゃってる?何に?ってか教室までって、俺他校の生徒なのに学校入っていいの?もう文化祭終わってるんだよな?
しかし彼女は問答無用と言わんばかりに俺の制服の裾を掴み、校内に連れて行こうとする。いやタンマタンマタンマ!
「ちょ、おい!俺入っていいの?!」
「大丈夫です大丈夫です、いいから来てください!」
「えー!?」
結局引き摺られるように強引に校内に連れ戻された俺は、彼女の後について教室を目指す。
見ると、辺りにほとんど生徒はいない。教師も見当たらないし、片付けは大体終えたんだろうか。
「はい、ここです。あ、うちのクラスあの子以外みんな帰ったんで安心してください。じゃあ後はよろしくお願いしますね〜」
「は、はぁ…どうも」
ほんの数時間前まで、カフェだった場所。看板もメニュー表も全て取り払われ、無機質な教室に戻っているのがなんだか物悲しい。