第11章 軋み始める関係
【一松side】
…あいつは…追いかけてこないな。
これでいい。多少きつめに言って傷付けて、嫌われるくらいが僕にはお似合いだ。
親しい友人を作る?人と信頼関係を築く?
くだらない。どれもこれも、時間をかけて構築したわりには、壊れるのなんて一瞬だろ。
仲良くなりたい、と願っても、すぐには実現しない。反対に、壊すのはとても簡単だ。
ほら、今みたいに。
掴みかけた幸せを、自ら手放した。…いや、その幸せすら幻だった。
ああ、これだから人間嫌いのゴミクズは。真っ当に生きることすらできないくせに調子に乗るから、
欲しがってはいけないものを欲してしまったんだ。
ない頭でこの数日、必死に考えて出した結論。
…彼女から離れる。
シンプルだ。至極単純。誰だってまずはこの考えに辿り着くだろう。
元々学校なんてなし崩し的に通っていたに過ぎない。できるだけ兄弟から離れて生活できればそれでよかったんだ。授業もほとんど出てないんだし、ちょっと不登校になるくらい僕は痛くも痒くもない。
…そうやって今度は、彼女から逃げるのか。
クソな現実から目を背け続けて、将来僕には何が残る?いいや、何も残りはしない。
僕は生きるのに向いていないんだ。
愛とか友情とか、心底うざってぇ。
僕には…
俺には、
そんなもの必要ない。
***