第3章 告白
「はぁっ、はぁっ…な、なんとか式には間に合う…かな…?」
ある程度走ったところで、近くにあった建物の屋根の下に入り、小休憩をする。この辺りまで来れば、高校は…ううん、まだ半分くらい距離あるか…。
カバンが犠牲になってくれたおかげで、思ったほど体は濡れてないけど…これ以上はさすがにまずい。
まだ時間はあるし、一旦雨が止むのを待ってみよう。
その時だった。
「もしもーし。君、だいじょぶ?」
「えっ」
突然、ビニール傘を差した男の子に話しかけられる。制服は違うから他校の人かな?
「えっと…」
返事に困っていると、彼はニカッと笑って手をひらひらと振った。
「ああ、ごめんごめん、いきなり声かけちゃって。ナンパとかじゃないから安心していーよ」
「は、はぁ」
それを自分で言っちゃうあたり、余計ナンパか何かだと疑ってしまうんだけど…うーん、悪い人には見えないな。
「傘ないように見えたからさ。制服も少し濡れてるし。雨宿りしてるんだろ?」
「は、はい、まぁそんなところです」
「じゃ、俺の傘入ってかない?」
「……へ?」
…こ、これは、やはりナンパ…!?
思わず一歩引いて身構えると、そんな私を見て彼はうーんと唸る。
「あー、なんか誤解してる?なんもしないよ、俺。それにさ、あんまりゆっくりしてたら遅れちゃうんじゃないの?学校」
「!」
そ、そうだ、冷静になるんだ私!仮にナンパだったとしてもやばくなったら逃げ出せばいいんだし、本当にただの厚意なんだとしたら、断る理由なんてないじゃない!
「で、どうする?入ってく?」
「は、はい!お願いします!ありがとうございます!」
私は勢いよく頭を下げてから、戸惑いつつも彼の傘の中に入る。
「し、失礼します…」
「おう、いいってことよ。狭くない?」
「は、はい。大丈夫です」