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ワンナイショータイ

第1章 金髪の彼


「茜歩ける?」

「うんー」

お会計を済ませて店を出た私をライトは心配そうに見ている。

「多分大丈夫ー」

とは言ったものの、背が低い私がいつも選ぶヒールの高い靴は酔った身体のバランス感覚を見事に奪ってくれていて、

「ちょっと、フラッてるじゃん!」

転びそうになった私の二の腕をつかんで支えてくれた。

「あー……」

ライト力強くて男らしいな、元カレとは大違いだな、なんてどこか冷静に思いながら、真っ直ぐ立とうとしている私を見て、

「家近い?」

「うんー」

「俺送るから、ほら手!」

腕に掴まれと差し出してくれた。

「んー……」

送る?

ライトは私を家まで送ってくれるというのか?

呑み屋で初めて出逢ってたまたま呑んで意気投合しただけの酔っぱらって面倒臭い私をここで放り出さずに家まで送ってくれるというのか?

「ライトって顔だけのイケメンじゃないんだね」

「なにそれ。意味わかんねーし」

呆れたように笑いながら、私をなかば引きずるように歩きだした。

「家どっち?」

「あっちー」

指を指しながら角を曲がり、もうすぐ私の住んでるアパートだというところで、

「私んち、そこ。ありがとー」

ライトの腕から離れようとしたのだが、

「心配だから玄関まで送らせてよ」

さらに引きずってアパートの階段を上がっていった。

「どこ?」

「んっとねー、ここー」

奥から2番目の部屋のドアの前で足を止め、カバンから鍵を出すと、ライトがそれを奪い鍵を開けた。

「?」

何が起こってるのかわからないままドアを開け、玄関に私を押し込むと、私の身体を少し抱き上げるようにして履いていたパンプスを脱がせる。

そのまま私を押し歩くように途中持っていたカバンも奪って床に置き、部屋の奥へと進んで、開けっ放しだった寝室に迷うことなく入り、ベッドに押し倒した。

「ライト?」

酔っぱらって自由の利かない私の身体を押さえつけ、

「嫌な想い出にはさせないから。顔だけのイケメンじゃないからね」

怪しく笑って唇を重ねてきた。
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