第2章 スタバァ〜事件簿(トド松)
みつかりたくなくて、僕はとっさに草陰に隠れた。
「トッティー大学行ってないらしいよーw嘘ついてたんだってー」
「優しくして損したー!合コンやるって言うからやっと他の慶応生紹介してもらえると思ってたのにー」
「本当に!優しくしてあげた分マジ損したー」
各々、好き勝手言ってる。
(所詮僕は他の慶応生釣る餌だったんだ…)
なんか…悲しくなってきた。目に涙が浮かぶ。
「トド松くん…大丈夫かなぁ…」ぼそりと呟く声が聞こえる。
「はぁ?〇〇〇あんた何トッティー心配してるの?うちらを騙してたんだよ?」
「そうだよ!慶応なんていって嘘ついてたし、合コンあんなの連れて来るようなやつだよ!」
信じらんなーいとお怒りの声。そうだよね、僕に価値なんてないもんね。
でも彼女は「別に慶応生じゃなくても彼は彼ですよ?お兄さん達合コンに連れて来るなんて兄弟想いじゃないですか?」ときょとんと答えた。
なんなの、女神なの?
僕は救われた気がした。
ふと声のする方を覗くと、その声の主に驚いた。その声の主は、僕の本命の〇〇〇ちゃんだった。
天然なのかなんなのかはわからないが、嫌われてない事に胸をなでおろす。
(〇〇〇ちゃん天使みたい。僕あんな嘘ついたのに…裸踊りとかも見せたのに…心配してくれてるなんて…)
先ほどとは違う涙が浮かぶ。
「私トド松さんの事が心配です…お兄さん達に遊ばれて…私やっぱり戻ります!」
女の子が「マジ物好きーウケるーw」と言って笑う中、彼女はみんなにお疲れ様です、と答え来た道を戻っていく。
(泣いてる場合じゃない!居酒屋には今は野獣しか残っていない!)
僕は急いで、隠れながら居酒屋の方へと急いだ。
居酒屋の近くに着いた時、彼女に追いつき、声をかけた。
「〇〇〇ちゃん?」
彼女はびっくりしたように振り返り、
「トド松君?」と返事をした。
「さっきはごめんね。兄さん達を怒らせちゃった罰だったんだ。あと嘘ついていてごめん…」深く頭を下げ地面を見つめる。やばい。また涙でそう。
「そうだったんだ…もうお兄さんは大丈夫?嘘はよくないけど、この嘘くらいなら大丈夫」