第5章 今日からお前は…(カラ松)
やだ、と言われたものの、名前を呼ばれ自分だけに向けられた笑顔に心が撃ち抜かれたようにキューンと音を立てた。
可愛すぎる!!!!
「それは残念だ、だれも知られないようにするから気が向いたら教えてくれ」と話すとタイミングよくチャイムが鳴って会話が終わった。
授業が終わり、放課後帰ろうとする⚫︎⚫︎に声をかけた。
「帰るのか?良かったら途中まで一緒に帰らないか?」
少しの沈黙がながれる。
「急にどうした?なんで私?」
疑問しかない彼女の顔。
確かにそうだ、同じクラスで隣という事以外⚫︎⚫︎との繋がりはない。
「…なんとなく。」
その一言に、ぷぷっと笑い、変な奴ーと言われた。今日はよく笑ってくれる。
いい日だ。
でも断られると思っていた会話だが、意外なことに
「今日バイトだからなー。途中までね。」と返された。
そんなこんなで一緒に帰ることになった。
「なぁ、なんのバイトしてるんだ?」
「内緒〜」
「⚫︎⚫︎は内緒が多いな。」ハハッと笑うと、だろー?って笑って返される。
こんなに長く話しをしたのははじめてだ。
もっと長く一緒にいたい。
⚫︎⚫︎の事をもっと知りたい。
たわいもない話しをしていたら、「じゃあ、バイトあるからまた明日学校でー」と話しが中断された。
バイト先まで送ると言ったが綺麗に断られ別れる事になった。
⚫︎⚫︎が小走りで手を振って離れていく。ただそれをずっと見守った。
見えなくなって少しして、俺は家に帰った。
今日はいっぱい話せたな。なんのバイトをしているんだろう。もっと知りたい。
居間で携帯で撮った画像を見ていると不意に後ろから声が聞こえた。
「うぇーい!!
なになに〜?カラ松兄さん携帯構えて。写真撮ってくれるの〜?触手撮って〜」
あははと笑う十四松。横でチョロ松が冷静に見て一言。
「兄弟を盗撮?やめてよね。どんだけ飢えてるんだよ」
いやいや、断じて男に飢えてはいない。むしろ余っている。
「飢えてはいない。ラブブラザーではあるが…そしてカメラ音が鳴るから盗撮出来ないし、十四松は勝手にカメラに写ってきそうだ…」
と答えると目線も合わせず、ポツリとトド松が「いったいよねー。でも、盗撮アプリってあって音ならないようにできるんだよ?」と呟いた。