第4章 猫の気持ち (一松)
うわーーかわいーっと猫を撫でている彼女。
いや!お前の方がぜってー可愛いから!なんて思っていても死んでも言えない。
ずっと猫ばかり見ている女の子、ちょっと妬けるんですけど…。
いつもは大好きな猫、いまはそれどころではない。
こっち向いてほしい…
そんな思いから考え抜いてだした答え「…猫のエサ…いっしょにあげる?」
言い終わった瞬間、彼女は「あげるっ!!!」とキラキラかした目でこっち向いた。
んんんんっ!!!可愛いんですけど!眩しいんですけど!
あまりに無邪気に向けられた視線が眩しくてせっかくあった目をそらしてしまう。
「はい…」
エサを渡す為手を出す。
少し離れていたせいか届かなかったようで、彼女は座ったままぴょんと飛んで肩が触れそうなくらいまで近くにきた。
ドキっ!
仕草も可愛いく、さらに他人がこんな至近距離に居ることがないためドキドキしてしまう。でも不思議と嫌ではなかった。
餌を渡し、一緒に餌をあげる。
名前何て言うんだろ…でもこんなクズが聞いて答えてくれるんだろうか?断られて、帰ってしまうのではないか…そんな事をぐるぐる考えていたら急に女の子が話はじめる。
「私、猫好きでよくここに来てたんだけど、初めて猫触れたよ〜。ありがとう!えっと…そういや名前聞いてなかった」ハハハと笑いながら「私〇〇〇、あなたは?」と聞いてきた。
〇〇〇ちゃんっていうのか。可愛い名前だな。と思ってぼーっとしてしまった。
おーい!と声をかけられ、はっとし返答する。
「…一松…」ぼそりと答えると彼女はにっこり笑って「一松くんありがとう!また来ていい?」と言ってきた。
だから反則だって…
最初に会った時からみるみる表情と態度が変わり警戒心もない。
それは懐いた猫のようだった。