第4章 猫の気持ち (一松)
猫の気持ち
猫のは人には懐かないってよく言われる。
だけど本当は違うんだと思う。
いつも行く裏路地、今日もまた独り懲りずにネコに餌をやりにきている。
俺の事を癒してくれるのはこいつらだけだ。
ニャーと鳴きながら近づいてくる。よしよし、と撫でてやればゴロゴロと擦り寄ってくる。めちゃ可愛いやつめ。
ふふふと笑いながら撫で回す。
すると背後から女の声がする。
「誰かいるの…?」
振り返るとすらりと伸びた白い脚にミニスカート姿のとても可愛い黒髪の女の子だった。
俺は一瞬で目を奪われた。
だが、すぐ正気にもどり、マスクで、顔を隠す。
「ネコ好きなの…?」恐る恐る近寄る女の子。18歳くらいかな?
コクンと、頷けば少し緊張が解けたのか更に近寄ってくる。
なんか…警戒心が強い…ネコみたいなやつ。
俺は座ってネコに餌をあげはじめる。
気になるようでそろそろと近寄って50センチくらい離れて横に一緒になって座る。
撫で撫でとネコの頭を撫でながら餌を与えると彼女はじーっとネコを見てゆっくり手を伸ばした。
ビクッ!
!!ビクッ!!!!
ネコが伸びてきた手に驚いて目を開くと、それに驚いて女の子も目を見開いてビクッと反応した。
「び、びっくりした。」
ドキドキしてるのか胸を押さえてて面白い。
面白い?あまりわかない感情に一瞬疑問を持つ。
人前ではあまり話さないがその時だけは何故か言葉がするりと出てきた。
「だめだよ、急に頭に手を伸ばしちゃ。びっくりしちゃうから。」
彼女の手を取るとゆっくりネコの鼻の近くに持っていく。
くんくん
ネコは彼女の指の匂いを嗅ぎ、そのままぺたんと座り込んだ。
「もう大丈夫だよ、頭撫でてみて。」
彼女は真剣な顔でコクンと頷き手を伸ばす。
撫で撫で
ぱぁっと喜びこちらを見る
「触れた!」猫を撫でながら俺を見る。
いきなり笑顔は反則でしょ…
さっき手を触れた事を思い出し更にドキドキする。
「…よかったね…」マスクで顔を隠しながらぶっきら棒に答えた。