第6章 ひと夏の思い出
向かい合う形で座る。
スタート地点は照明もあってお互いの顔もはっきり見えていたけど、段々と暗くなり、今ではほとんど見えない。
徹はどんな顔をしているんだろう。
そう考えていたら、徹が隣の席に来た。
「うわっ!? ちょっ!! 揺れてるよ!!」
「雪乃って、やっぱ高いとこダメ?」
「そんな事ないけど……ちょっとビックリしただけ……」
徹の肩が触れる。
別に、キスするときはもっとくっついているのに。
いつもとは違う状況に、いつもより緊張している自分がいた。
「今日は、ありがと」
「な、なにが?」
「色々と、ね♪」
そう言って徹は私の肩を抱き寄せた。
徹の匂いが鼻腔をくすぐる。
私たちはどちらからともなくキスをした。
最初は触れ合うだけのキス。
ついばむように、そしてお互いの舌を絡め合う深いキス。