第7章 季節の変わり目
「あとは……」
岩泉君が続ける。
「お前の彼女なんだから、もっと気遣ってやれ」
「岩ちゃん……」
「じゃあ俺はこれ生徒会に出してくっから」
「え、私も……」
「影山はこれ書いてくれたし、隣のバカが今にも噛みつきそうだから、先帰っていいぞ」
「ありがと……」
岩泉君は手をヒラヒラとさせ、視聴覚室を出ていった。
取り残された私たちは、お互いのキョトンとした顔と入口とを交互に見やった。
「岩ちゃんも、たまにはいいトコあるんだね」
「それ聞いたら、絶対蹴られるよ」
「じゃぁ、なかったことにしよ」
「ほんと、二人は仲良しだね」
「ずっと一緒だからねー」
窓の外を見つめる徹の瞳は遥か遠くを見ているようだった。
教室に置きっぱなしの鞄をとって、私たちは家路についた。