第6章 ひと夏の思い出
「ねぇ、ちょっと……あれ、及川君じゃない!?」
「え、嘘!!? 誰と!?」
「一人っぽい……?」
彼女たちが徹を見つけてしまった。
「せっかく楽しんでるのに、引き止めちゃってごめんね」
「あ、ううん。影山さんも楽しんでね~」
私の方には目もくれず、彼女たちは徹の方へと向かっていった。
私が徹と一緒に居るところを見られてもまずいので、少し歩くことにした。
「徹、ゴメンね……」
私はどこへともなく歩いていた。
昼前ともあり、レストランの周りは人が多くなっている。
とりあえず目立つように大きなモニュメントの前で待つことにした。
わからなければ連絡が来るだろうし……。