第6章 ひと夏の思い出
「雪乃、大丈夫? 顔、真っ青だけど……?」
「だ、大丈夫……。多分……」
降車後、フラフラになった私を支えて近くのベンチへ腰を下ろした。
「俺、飲み物買ってくるから。動いちゃダメだよ?」
「うん……(動けないから)大丈夫。ゴメンね……」
徹は駆け足で行ってしまった。
せっかくのデートなのに……悪い事しちゃったな。
私はまだフワフワしている頭のまま、徹が消えた方を見つめる。
「あれ……? もしかして、影山さん?」
「ぁ……どうも……」
「一人……ってことはないよね? 誰々~?」
「あ、もしかして彼氏とか!?」
「うわ! 見た~い!!」
「いや……えと……」
まさかこんな所でクラスメイトに会うとは思っても見なかった。
彼女たちはクラスでも目立つし、私とは余り接点もない。
しいて上げれば、徹のファンだという事くらい。