第6章 ひと夏の思い出
お化け屋敷に行く行かないで、あっという間に待ち時間は過ぎていった。
生まれて初めてのフリーフォール。
遠くからでも悲鳴やら奇声やらが聞こえてくる。
好奇心と恐怖心でドキドキの中、徹の隣の席へ座る。
「しっかり安全バー下げとかないと吹っ飛んでっちゃうからね?」
「え!? そ、そうなの!?」
「しかも連帯責任だよ?」
「!!!!!」
私は徹が笑っていることにも気付かずに、お腹に食い込む程に安全バーを下げた。
「雪乃ってさ、素直だよね♪」
「え??」
「可愛いってこと~♪」
「も、もぉ……」
開始のブザーと共にゆっくりと上昇していく。
どのアトラクションよりも高く昇っていくと、地平線まできれいに見渡せる。
綺麗だな~。
と、思ったのもつかの間。
私の身体は心臓を置き去りにして地上へと急降下していった。