第1章 始まりは突然に
「徹……、ありがとう」
徹は不思議そうな顔でこちらを見ている。
「私の夢に出てきてくれて、ありがとう」
「俺は雪乃が会いたいときにちゃんと出てきてあげるよ♪安心しなさい♪」
徹は満面の笑みでVサインを出した。
私もつい、つられてしまう。
「あーあ、ホント、夢なら覚めなきゃいいのになー」
私は徹に背を向け呟く。
「もしも、夢じゃなかったら……?」
「えっ!??」
そんな事、ある訳ない。
心ではそう思っていても、もしもがあるならば…なんて考えてしまう。
「夢じゃなかったら……、それは凄く嬉しいけど。だけど…………ありえないもん……」
夢なら早く覚めて!!
幸せなままで終わりたい!!
私は必死に願った。
だんだんと頭がぼうっとして、視界が歪んでいく。