第1章 始まりは突然に
「そろそろ、終わりの時間みたい……。私の目が覚めちゃうみたい……」
「えっ……?」
徹の姿がだんだんと遠くなっていく。
「雪乃!!!」
「ばい……ばい……」
「……!!!!」
最後に徹が何か言ったような気がしたけど、私の耳には入って来なかった。
幸せだった夢の中の私は熱にうなされ苦しんでいる現実の私とバトンタッチをすることとなる。
もう少し、長い夢だったら良かったな……。
贅沢な夢を見ておきながら、更に贅沢をしようとするなんて、本当に私は図々しい。
そんな事を考えていたら、今度は王子様の格好をした徹がお姫様抱っこをしてくれてる夢を見た。
夢の最後におデコにキスをして「おやすみ」と言って天蓋付きのお姫様ベットに私を寝かせ子守唄までサービスしてくれた。