第6章 ひと夏の思い出
その後、私たちは昼食を済ませ帰宅した。
徹はまた我が家で夕食を食べることとなった。
母は喜び、父は泣き笑い、飛雄は複雑な表情での楽しい食卓。
楽しかった分、離れるのはやはり心苦しいもの……。
それでも夏休み最終日に予定した遊園地デートを目標に残りの数日を乗り切ろうと心に決めた。
何度も繰り返し重なる唇。
まだまだ大して上手くもないけれど、初めての時よりはまごつかなくなった。
「んっ……それじゃ」
「ぅん……またね……」
玄関先で別れのキスをして、徹が見えなくなるまで手を振る。
やはり別れの時はとても寂しい。
徹が見えなくなってもしばらくは、その場にとどまっていた。