第6章 ひと夏の思い出
「ちょっ!! 雪乃!! それ、反則!!」
「うわっ、影山、それギャグだろ!??」
二人は私の四字熟語Tシャツを見て腹を抱えて笑い出す。
私はどうにでもなれと言う気持ちでその場を後にする。
しかし、徹がすぐに追ってきて抱きしめられる。
「ちょっ!? みんな見てるよ!??」
「雪乃が可愛いからだよ。 それに、このTシャツちょっと小さ目だから、雪乃の胸が逆に目立つ……」
「//////」
徹はTシャツ姿の私が恥ずかしい思いをするのを防ぐために服を貸してくれていたわけではなかったらしい。
そっと耳打ちしてきた徹のその一言で、私は全身真っ赤になってしまった。
「と、言うわけで、昼飯は岩ちゃんのおごりね~♪」
「はぁ!? なんでそうなんだよ!!」
再び始まった二人の痴話げんかは、沸騰してしまった私の耳に届くことはなかった。