第6章 ひと夏の思い出
「もー!! 岩ちゃんのせいで昼飯食いそびれたじゃん!!」
「うっせ! お前が大声出して盛大にこけるのが悪いんだよ!」
「まぁまぁ二人ともその辺で……」
スタスタと歩きながら言い争う二人は、美形なだけあって注目の的になってしまう。
私は後を追いながらも、周囲の視線が気になってしまう。
「お前なんかと居るから影山もこんな苦労するんだよ!」
「いくら岩ちゃんだって、言っていいことと悪いことあるのわかるでしょ!」
「もー! いい加減にしなさい!!」
何を言っても聞かない二人にとうとう私は怒鳴ってしまった。
「二人ともただでさえ目立つのに! 一緒に居るこっちの事も考えてよ! もー、恥ずかしいし、変に目立つし!」
急に怒鳴った私を、キョトンとした顔で見つめる二人。
私は徹から借りていたネルシャツを脱ぎ捨て叩き返した。
「二人がそんななら、私帰るから!!」