第6章 ひと夏の思い出
一通り買い物を済ませた私たちはファミレスで昼食をとることにした。
「雪乃はなんか食べたいものある?」
「う~ん、とくにはないかな~? 徹は?」
「俺は~……」
徹は口元に手を当て、レストラン街の看板を真剣に見ている。
そんな徹を見て新鮮だなぁ、なんて考えてると、視界の端に見覚えのある姿が……。
徹にも声を掛けようとすると、その人がジェスチャーで「言うな」と……。
私は真剣に看板とにらめっこする徹の行く末を見届けることにした。
「ボけ川ゴラァァ!!」
「岩ちゃっ!?? ふぶごっ」
岩泉君は思いっきり徹に飛び膝蹴りし、徹は盛大に吹っ飛んだのでした。
何かのイベントかと近くのお客さんたちが集まってきてしまい、私たちはそのまま退散することになったのは言うまでもない。