第5章 すれ違う思い
「でも……女の子に囲まれてる時、凄く楽しそうに見えた……」
「そりゃ、あんたの錯覚だろ? アイツ凄ぇ困った顔してたぞ?」
「嘘だ……私、ちゃんと見たもん……」
「あんたを困らせたくないからって、色んな誘いをテキトーな冗談でごまかしたり、第一、心配してなきゃここまで運んでこねぇだろ」
「でも、今は居ないじゃん……」
多分、岩泉君に八つ当たりしていた。
自分の辛い気持ちを、当たり所のないこの感情を、なんの関係もない岩泉君にぶつけていた。
「おい!! クソ川、こんだけ聞けりゃ十分だろ、大事な彼女泣かすんじゃねぇよ!」
「も~、岩ちゃん酷い!! 見えてないからって俺の事何回も蹴って来たでしょ!!」
「え!???」
私の寝ていたベットの下から徹が現れた。
私のこの醜い感情も、徹から逃げていたこともすべて知られてしまった。