第5章 すれ違う思い
気が付くと、私は保健室のベットの中に居た。
図書室とは違い、程よく冷房が効いている。
額には冷えピタが貼られていた。
「おぅ、気付いたか」
「……岩泉君……?」
ベットの横にはバレー雑誌を持った岩泉君が座っていた。
「あんた、屋上で何してたんだ?」
岩泉君は雑誌から目を離さずに尋ねてきた。
「徹がくるって……言ってたから……」
「アイツがメール送ったの屋上入る前だから」
「…………」
岩泉君は何が聞きたいのだろう。
私には、何もわからない。
「屋上でぶっ倒れるまで……何してた? アイツの連絡シカトして、ただ待ってた訳じゃないだろ……?」
「私、徹の考えてることが分からない……」
「は?」
「好きって言ってたのに、他の子と楽しそうに話してるし……」
私は岩泉君が居るのに泣いていた。
醜い気持ちが次から次へと涙となって流れていく。
「アイツを擁護をするわけじゃねぇけど、アイツはあんたの事すげぇ大事にしてると思う」
「ぇ?」
「あんたから返事が来なくてうぜぇ位に心配してるし、電話中に他の子が来たらあんたが嫌に思うだろうからって一旦電話も切ったんだぞ?」