第5章 すれ違う思い
勉強がひと段落したところで時計を見ると、もう3時間も経っていた。
鞄の中にしまっておいた携帯を取り出すと徹からメールが届いていた。
――今日は急遽練習試合が入って○○中へ行くことになりました♪――
このメールが届いたのが2時間前。
――試合終了♪ 圧勝だぜー♪☆♪☆――
これが1時間前。
――今日は監督の機嫌が良すぎて部活終了♪――
50分前……。
私は徹を1時間近くも待たせていたようで、慌てて帰り支度を始めた。
図書室を出たところで、手に持っていた携帯が着信を告げた。
「も、もしもし! ゴメン! 全然気づかなかった!!」
「雪乃は集中し始めると周り見えなくなるからね~♪」
「ご、ごめん……」
「まだ勉強中?」
「ひと段落したとこだったから、徹どこいるの?」
「俺は……あ、ゴメン! また後でかける!!」
「え? ちょっと……」
徹は一方的に電話を切ってしまった。
遠くの方で女の子の声が聞こえたような気がしたけど……私の勘違いだろう。
とりあえず、私はバレー部が練習していた体育館へ向かう事にした。