第5章 すれ違う思い
期末テストも無事終わり、夏休みが始まった。
徹も飛雄も毎日部活の為に学校に通っている。
3年間帰宅部の私にとっては、夏休みの学校は未知の世界だった。
だけど、今年は受験もあるからとの名目で図書室通いをしている。
飛雄と一緒に家を出て、校門の前で別れる。
いつもはたくさんの生徒で賑わう昇降口も、私以外の気配はしない。
「なんか、新鮮だな……♪」
ちょっとしたワクワク感を胸に図書室へ向かった。
図書室の中は冷房のおかげで少し肌寒いくらいだった。
まだ誰も居ないものだと思っていたが、図書室の中はすでに数名の生徒が教科書やらテキストやらを広げていた。
私もテキトーな席を選び教科書を広げた。